Client Guide
この資料は、AI動画制作をご依頼いただく皆さまと私たち制作チームが、同じ地図を見ながらプロジェクトを進めるためのものです。 AIで動画づくりは劇的に速く・安くなりました。それは事実です。ただし「何でも・いつでも・すぐ」ではありません。 どこが速くなり、どこに手間が残るのか。どの変更が安く済み、どの変更が「作り直し」になるのか。先にお伝えしておくことが、結果的にいちばん速くて安い進行につながります。
生成AIの仕事の実態
動画生成AIは、指示文(プロンプト)を渡すと数秒のカットを生成します。ここで大事なのは、 1回の生成で使える映像が出てくるとは限らない、ということです。 同じ指示でも毎回違う結果が出ます。手の指が6本になる、キャラの服が途中で変わる、意図と違う動きをする—— そうした「ハズレ」を含む複数回の生成の中から、使える1本を選び、必要なら指示を調整して引き直す。これがAI動画制作の実態です。
生成コスト = カット数 × 1カットあたりの生成回数 × 生成単価
標準的な演出でも、選別のために1カットあたり数回は生成します。
AIが苦手な演出が入ると、この「生成回数」が2倍・3倍と跳ね上がります。
つまりお見積りは「何カットか」だけでなく「どんな演出か」で決まります。
2026年時点の主要モデル(Sora 2/Veo 3.1/Kling/Seedance 2.0 等)に共通する傾向
最新のAIは驚くほど進化しましたが、明確に苦手な演出があります。 私たちは受注時に必ずチェックし、苦手演出が含まれる場合は回避策(プロの技法)とセットでご提案します。
| 演出 | 難易度 | なぜ難しい | プロの対応 |
|---|---|---|---|
| 物の受け渡し・手渡し | 高 | 手と物の接触、受け渡し前後で「同じ物」を保つことの両方が苦手。物が変形・消失しやすい | 受け渡しの瞬間を映さないカット割り(渡す手→受け取った後)。実写映画でも使う省略技法です |
| 3人以上が同時に動く | 高 | 2人までは安定。3人以上で服装の入れ替わり・顔の混ざりが起きやすい | カットを分けて同時に動く人数を抑える。群衆は引き・ボケで処理 |
| 手・指の細かい演技 | 高 | 手指はAIが最も破綻しやすい部位。楽器演奏・タイピングは特に困難 | 手元を映さないフレーミング、または該当カットに生成回数を厚く配分 |
| 画面内の文字(看板・商品名等) | 編集で解決 | 生成すると文字化けする(日本語は特に) | 生成映像には文字を入れず、編集工程で正確な文字を合成。だから文字修正は安い |
| 実在商品の正確な再現 | 高 | ロゴ・パッケージ・形状を正確に保てない | 商品は実写素材・3Dで用意し、AI映像と合成 |
| キャラの一貫性(カット間) | 中 | カットごとに顔・服装が微妙に変わりやすい | キャラ設定資料(参照画像)を作り、全カットで同じ参照を使用。キャラデザの事前確定が必須 |
| 10秒を超える長回し | 中 | 長くなるほど後半で画が崩れやすい | 5〜10秒で分割生成し、編集で繋いで長回しに見せる |
| 高速アクション・ダンス | 中 | 速い動きは破綻・残像が出やすく、振り付けの指定も難しい | 短いカットに割り、動きの頂点を編集で繋ぐ |
| 高速で交互に切り替わる演出 | 編集で解決 | 1本の生成内で高速切替を指示すると破綻する | これは生成ではなく編集の仕事。素材を個別に生成し、編集で高速カットを構成(追加コストは編集工数のみ) |
ポイントは、苦手演出の多くに映像業界で昔から使われてきた回避策があることです。 「AIで無理やり生成する」のではなく「カット割りと編集で解決する」——ここが、プロンプトを打つだけの制作と、映像のプロがAIを使う制作の違いです。
変更コストの仕組み——手描きの修正とはルールが違います
従来のアニメ・実写では「一部だけ直す」ことができました。AI動画では事情が異なります。 キャラの見た目や画風は、全カットの映像に「焼き込まれて」いるため、後から変えるには該当する全カットを生成し直すしかありません。 部分修正という概念がなく、変更ではなく作り直しになるのです。
| 変更の内容 | 影響範囲 | コスト感 |
|---|---|---|
| キャラクターデザイン・見た目の変更 | 全カット再生成+設定資料・絵コンテ改訂 | 作り直し相当 |
| 画風・トンマナ全体の変更 | 全カット再生成+ルック開発やり直し | 作り直し相当 |
| 特定カットの演技・動きの修正 | 該当カットのみ再生成 | 中 |
| カットの追加 | 追加分の生成+一貫性確認 | 中 |
| ナレーション・BGMの差し替え | 音声・編集工程のみ(再生成なし) | 低 |
| テロップ・字幕の文字修正 | 編集工程のみ(再生成なし) | 低 |
| 全体尺の微調整(±数秒) | 編集で吸収できれば再生成なし | 低〜中 |
だからこそ私たちは、制作フローに「承認ゲート」を設けています。 ゲートまでは何度でも方向修正できます。ゲートを越えた後の変更は、越えた工程のやり直しになります。
※ たとえば「キャラの印象を変えたい」はゲート1まではデザイン修正のみ(低コスト)、④以降では全カット再生成(作り直し相当)になります。
AIは、従来数週間かかった映像を数日で形にします。ただしそれは、絵コンテ・カット割り・参照資料・編集という 映像制作の骨格があってこそです。骨格を飛ばして生成だけ回すと、ガチャの試行回数が膨らみ、 かえって高く・遅く・粗くなります。
「この演出はAIでどのくらい大変?」「この変更はいくらかかる?」——迷ったら、いつでもお聞きください。 正直にお答えすることが、私たちの品質管理だと考えています。
本ガイドの内容をツール化した「演出難易度チェッカー」では、 企画に含まれる演出をチェックするだけで、難易度ランク・想定生成回数・変更の影響範囲を試算できます。 お打ち合わせの場でご一緒に確認するのもおすすめです。
AI動画制作の無料相談はこちら無料ツール:演出難易度チェッカー / 動画プロンプトメーカー / 絵コンテメーカー